"文学 本"の記事一覧

アブドゥルラザク グルナ氏の『Paradise』

 12歳のユスフ(Yusufu)少年の視線は平らかだ。例えばモハメドという”物乞い”と仲良くなるのだが、ボロボロな服を着た彼の表面ではなく、彼のたどってきた歴史や冒険譚などを聞くことによって、一人の人間としてのモハメドを浮かび上がらせる。彼の母も敬意を持ってモハメドと接するというまだ出だしの数ページでの心惹かれるシーンだ。そのころ、ユス…

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『ムチョラジ!』が放つ輝き

 わたしがタンザニアに移り住んだのは、1989年のこと。そのころは、ケニアの首都である大都会ナイロビに比べたら、わたしが住んでいたタンザニアの最大都市ダルエスサラームは、まだまだ物資も少なめで高層ビルもないのんびりした街だった。対照的に、中心街には新しいビルが立ち並び、日本食のレストランや日本食料品店もいくつかあり、バーガーキング(だっ…

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