戦争ではなく徹底した弾圧が行われているガザ、パレスチナ
タンザニアも今月2日からイスラームの断食月、ラマダン入りした。タンザニアは南半球にあり、まだまだ暑い日が続いているから、食事はともかく日中水も飲めないのは少々辛いのでは?と思ったりもするけれども、そこも神がいれば乗り越えられるのだろう。
タンザニアにいる我が息子はムスリムではないのだが、ムスリムの友人がたくさんいるためか、この間、水は飲むが、日中は食べないというなんちゃって断食をしているらしい。「ちょっとダイエットもしたいし」と言っていたけれども、わたしは、ラマダン中は、日没後、軽い食事の後、しっかりした食事もとるし、普段より食費も嵩むらしいし、体重が増える人もけっこういるという認識なので、息子の希望は叶わないと見ている。
パレスチナの地でも多くの人々がラマダンに入っているであろう。しかし、この聖なる時期に状況は非常に厳しい。
イスラエルによるガザ攻撃、イスラエル・ガザ”戦争”は、1月19日から停戦となっている(イスラエルによる空爆は継続中というニュースがある*1)。しかし、イスラエルのネタニヤフ首相は、この”停戦”中のラマダン中の今月2日、「ガザ地区への人道支援物資を含むすべての物資の搬入の停止を決定し」「イスラエル軍はガザ地区のすべての検問所を閉鎖した」と発表した。*2
その上、イスラエルは、浄水施設への電力供給も遮断した。*3、*4 それによってガザで手に入る清潔な飲料水の量が激減しているというニュースも見た。水、特に清潔な飲み水がないってどんなに辛い、どんなに体に悪いことか。。
集団懲罰といえる国際人道法の重大な違反なのに、なぜこうなっても国際社会はイスラエルを止められないのか!?
”停戦”していてもありとあらゆる手段でイスラエルは、ガザの人々を痛めつけることができる。なぜならガザはイスラエルにより2007年以来軍事封鎖されているのだから。ガザの人々の生殺与奪は、イスラエルが握っているも同然。そして、広辞苑によると戦争とは「武力による国家間の闘争」とされている。だとしたらイスラエル・ガザ”戦争”という呼び方はおかしいのではないか。その中にある真実がわからなくされる呼び方なのではないか。
わたしはタンザニアの本土側、タンガニーカがドイツ領だった時代(1885〜1919)に起こった「マジマジの反乱」を想起する。
「そのドイツの植民地支配を大きく揺るがせたのは南部で起こったマジマジの反乱(1905〜07年)である。ドイツ植民地政府によるアフリカ人農民に対する商品作物ワタの強制栽培に対する反抗から反乱は始まった。マトゥンビ人の呪術師であったキンジキティレが「命の水(マジ)」という精霊信仰を唱え、それが南部のボゴロ、ンギド、キチ、ザラモ、ンゴニなど多くの民族を巻き込んで一気に広がった。ドイツは焦土戦術を取り、住民を飢餓に追い込み、徹底して弾圧した。25〜30万の人びとが亡くなったという」(「タンザニアを知るための60章【第2班】」P.60より)
「マジマジの反乱」の記念碑
イスラエル・ガザ”戦争”と構図がとても似ているよね。
アカデミー賞も受賞したヨルダン川西岸地区のパレスチナ人居住区が舞台のドキュメンタリー映画『ノーアザー・ランド』は、理不尽すぎる現実をまざまざと突きつけてくる。イスラエル政府、軍、武装した入植者たちが、ヨルダン川西岸のパレスチナの人々の村の家を学校を井戸を問答無用で破壊してゆき、抵抗する者には実弾を発砲する。まさに命懸けで撮ったフイルム。この現実を変えていくためにもより多くの人に見てほしいと思う映画だ。
そして、これらは、2023年10月7日以前の映像記録なのだ。2023年10月7日が”戦争”の始まりでは決してない。パレスチナで暮らしていた人々が村を破壊され、土地を奪われ、追放され、75万人もの人々が難民とならざるを得なくなった1948年のイスラエル建国に前後して起こったナクバの時から、今もその迫害、弾圧が続いている。これはまさに入植型植民地。80年近く続く、国際社会が見て見ぬふりをし続け、今も”戦争”とかどっちもどっち的な態度、欧米に至っては、イスラエル寄り態度(自分たちが旧植民者たちだったから?)、日本もイスラエル製の武器を購入しようとしているなど、イスラエルと仲良くしようとし、イスラエルを批判しない。なんで?
「マジマジの反乱」に関しては、2023年にドイツのシュタンマイヤー大統領が、その残虐行為に関して反乱を起こした人々の子孫らに謝罪したそうだ。(補償はしてない)*5 今のイスラエルがパレスチナに対して行っていることをドイツが支援しているなら、それが「マジマジの反乱」を弾圧したことと同じだと感じられないなら、思えないなら、上記の謝罪はなんだったのだ。
強い国、多くの経済力、軍事力を持った国々が、旧宗主国たちや、入植型植民地で造られた国などが、今でも植民地主義を是としているこの構図。その中で苦しめられている人々の姿をちゃんとわたしたちは見ていかないと、微力でも「おかしい」「やめろ」と、声を上げていかないと、同じことがなん度も繰り返されることになるだろう。そしてこれは、対岸の火事ではないのだ。
<参考記事>
*1 『ガザでイスラエルの空爆継続、4人死亡 停戦交渉に進展見られず』 ロイター 2025/3/12
https://jp.reuters.com/world/mideast/CFEEAPAMUBI6THNSY563LXMGZM-2025-03-11/
*2. 『イスラエル、ガザへの物資搬入停止 ハマスは「停戦合意違反」と反発』毎日新聞 2025/3/02
https://mainichi.jp/articles/20250302/k00/00m/030/109000c
*3 『イスラエルによるガザ向け物資・電力供給停止、住民生活に深刻な影響 』ロイター 2025/3/11
https://jp.reuters.com/world/us/5WKEYPQB7RKWHOM347SR34LRKQ-2025-03-11/
*4."What does Israel cutting off Gaza’s electricity mean? " Aljazeera 2025/3/10
https://www.aljazeera.com/news/2025/3/10/what-does-israel-cutting-off-gazas-power-mean
*5. 『独大統領、植民地時代の残虐行為の「許し」求める タンザニア』CNN 2023/11/02
https://www.cnn.co.jp/world/35211046.html
タンザニアにいる我が息子はムスリムではないのだが、ムスリムの友人がたくさんいるためか、この間、水は飲むが、日中は食べないというなんちゃって断食をしているらしい。「ちょっとダイエットもしたいし」と言っていたけれども、わたしは、ラマダン中は、日没後、軽い食事の後、しっかりした食事もとるし、普段より食費も嵩むらしいし、体重が増える人もけっこういるという認識なので、息子の希望は叶わないと見ている。
パレスチナの地でも多くの人々がラマダンに入っているであろう。しかし、この聖なる時期に状況は非常に厳しい。
イスラエルによるガザ攻撃、イスラエル・ガザ”戦争”は、1月19日から停戦となっている(イスラエルによる空爆は継続中というニュースがある*1)。しかし、イスラエルのネタニヤフ首相は、この”停戦”中のラマダン中の今月2日、「ガザ地区への人道支援物資を含むすべての物資の搬入の停止を決定し」「イスラエル軍はガザ地区のすべての検問所を閉鎖した」と発表した。*2
その上、イスラエルは、浄水施設への電力供給も遮断した。*3、*4 それによってガザで手に入る清潔な飲料水の量が激減しているというニュースも見た。水、特に清潔な飲み水がないってどんなに辛い、どんなに体に悪いことか。。
集団懲罰といえる国際人道法の重大な違反なのに、なぜこうなっても国際社会はイスラエルを止められないのか!?
”停戦”していてもありとあらゆる手段でイスラエルは、ガザの人々を痛めつけることができる。なぜならガザはイスラエルにより2007年以来軍事封鎖されているのだから。ガザの人々の生殺与奪は、イスラエルが握っているも同然。そして、広辞苑によると戦争とは「武力による国家間の闘争」とされている。だとしたらイスラエル・ガザ”戦争”という呼び方はおかしいのではないか。その中にある真実がわからなくされる呼び方なのではないか。
わたしはタンザニアの本土側、タンガニーカがドイツ領だった時代(1885〜1919)に起こった「マジマジの反乱」を想起する。
「そのドイツの植民地支配を大きく揺るがせたのは南部で起こったマジマジの反乱(1905〜07年)である。ドイツ植民地政府によるアフリカ人農民に対する商品作物ワタの強制栽培に対する反抗から反乱は始まった。マトゥンビ人の呪術師であったキンジキティレが「命の水(マジ)」という精霊信仰を唱え、それが南部のボゴロ、ンギド、キチ、ザラモ、ンゴニなど多くの民族を巻き込んで一気に広がった。ドイツは焦土戦術を取り、住民を飢餓に追い込み、徹底して弾圧した。25〜30万の人びとが亡くなったという」(「タンザニアを知るための60章【第2班】」P.60より)
「マジマジの反乱」の記念碑
イスラエル・ガザ”戦争”と構図がとても似ているよね。
アカデミー賞も受賞したヨルダン川西岸地区のパレスチナ人居住区が舞台のドキュメンタリー映画『ノーアザー・ランド』は、理不尽すぎる現実をまざまざと突きつけてくる。イスラエル政府、軍、武装した入植者たちが、ヨルダン川西岸のパレスチナの人々の村の家を学校を井戸を問答無用で破壊してゆき、抵抗する者には実弾を発砲する。まさに命懸けで撮ったフイルム。この現実を変えていくためにもより多くの人に見てほしいと思う映画だ。
そして、これらは、2023年10月7日以前の映像記録なのだ。2023年10月7日が”戦争”の始まりでは決してない。パレスチナで暮らしていた人々が村を破壊され、土地を奪われ、追放され、75万人もの人々が難民とならざるを得なくなった1948年のイスラエル建国に前後して起こったナクバの時から、今もその迫害、弾圧が続いている。これはまさに入植型植民地。80年近く続く、国際社会が見て見ぬふりをし続け、今も”戦争”とかどっちもどっち的な態度、欧米に至っては、イスラエル寄り態度(自分たちが旧植民者たちだったから?)、日本もイスラエル製の武器を購入しようとしているなど、イスラエルと仲良くしようとし、イスラエルを批判しない。なんで?
「マジマジの反乱」に関しては、2023年にドイツのシュタンマイヤー大統領が、その残虐行為に関して反乱を起こした人々の子孫らに謝罪したそうだ。(補償はしてない)*5 今のイスラエルがパレスチナに対して行っていることをドイツが支援しているなら、それが「マジマジの反乱」を弾圧したことと同じだと感じられないなら、思えないなら、上記の謝罪はなんだったのだ。
強い国、多くの経済力、軍事力を持った国々が、旧宗主国たちや、入植型植民地で造られた国などが、今でも植民地主義を是としているこの構図。その中で苦しめられている人々の姿をちゃんとわたしたちは見ていかないと、微力でも「おかしい」「やめろ」と、声を上げていかないと、同じことがなん度も繰り返されることになるだろう。そしてこれは、対岸の火事ではないのだ。
<参考記事>
*1 『ガザでイスラエルの空爆継続、4人死亡 停戦交渉に進展見られず』 ロイター 2025/3/12
https://jp.reuters.com/world/mideast/CFEEAPAMUBI6THNSY563LXMGZM-2025-03-11/
*2. 『イスラエル、ガザへの物資搬入停止 ハマスは「停戦合意違反」と反発』毎日新聞 2025/3/02
https://mainichi.jp/articles/20250302/k00/00m/030/109000c
*3 『イスラエルによるガザ向け物資・電力供給停止、住民生活に深刻な影響 』ロイター 2025/3/11
https://jp.reuters.com/world/us/5WKEYPQB7RKWHOM347SR34LRKQ-2025-03-11/
*4."What does Israel cutting off Gaza’s electricity mean? " Aljazeera 2025/3/10
https://www.aljazeera.com/news/2025/3/10/what-does-israel-cutting-off-gazas-power-mean
*5. 『独大統領、植民地時代の残虐行為の「許し」求める タンザニア』CNN 2023/11/02
https://www.cnn.co.jp/world/35211046.html
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