ドドマでその名もチャレンジングな料理!?に巡りあう

 ”changamoto(チャンガモト)”というスワヒリ語がある。日本語だと「挑戦」「チャレンジ」などと訳されるようだけど、英語の"challenge"が実は日本語の「チャレンジ」「挑戦」よりも、もちっとマイナス面も含めた大変そうな「困難な課題」という意味があるように、”changamoto”にもそういう意味合いが含まれているようだ。例えばよく使われるフレーズに”Kuna changamoto nyingi”っていうのがあるけど、これは「(乗り越えなきゃなんない)困難、課題がいっぱいある」って意味だろう。

 そして、先日ドドマで巡りあったのはなんと、Changamoto って名付けられた料理。初めてその料理名を聞いた時にはびっくりしたものだけど、皆さんだったらどんな料理を思い浮かべるだろうか。

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 土曜日の夜のドドマのエリアDと呼ばれる地区の道路沿いは、とても賑やかだ。道に沿って派手なネオンサインで店名を告げているレストランやバーがずらっと並ぶ。

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 駐車している車も多く、店の外まで人が溢れている。

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 ここに我が旅友の砂織さんとともに連れてきてくれた椿さん一家と椿さんたちの活動を手伝うマイコ青年によると近年、ドドマの道路事情はグッと良くなったという、そしてこの通りがこんなに賑やかになったものここ数年のことだという。

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 鶏の絵のついた看板のある「Kwa Bubu Kuku Store」という店の中は、会話が成り立つのだろうかと思うくらいスワヒリポップのボンゴフレイバーがガンガン流れていたが、人々もそれに身を委ねながら楽しんでいるようだった。

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 ちょっとだけ静かな2階席に落ち着くと、椿さんのおつれあいのンズルンゲさんが「Kuku(鶏肉)のMakange(マカンゲ) とChangamoto(チャンガモト)を食べてみる?」と尋ねてくれた。

 マカンゲは2015年8月15日の当ブログ『新しい料理はバーから始まる!?☆Triple7)』で登場したタンザニア料理としては新しめの料理で、玉ねぎ、人参、ピーマンなどを炒め煮したものにトマトも入れて、すでに煮たり揚げたりした肉や魚を混ぜてライムなどを加えたもの。この後にもレストランやバーで何度か食べたことがある。

 今回このレストランでいただいたマカンゲは、ぶつ切りにした骨付きチキンの他に、チップス(フライドポテト)も入っていた。マカンゲの野菜ソースに絡まったチップスがかなりいい味を出していた。

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 ンズルンゲさんからチャンガモトという料理名が出たときに、何度も聞き返してしまった。でも彼らによるとドドマの食堂、レストランではよくお目にかかる料理なんだという。きっとダルエスサラームにもあるのでは?と。
 そこまで聞いたら、試してみない手はないよね。どんなに困難があろうとも!?

 現れたチャンガモトは、揚げたチキンにソースのからんだ柔らかな玉ねぎがたっぷりと混じった料理だった。チキンと玉ねぎを絡めて食べるといい感じ。チキンよりこの味の染みた玉ねぎの方がおいしいくらいだ。

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 しかし、なんでこれがチャンガモトと呼ばれるのだろう?同席していた椿さんのお嬢さんのナオミさんが下記のように解説してくれた。
「この料理は玉ねぎをいーっぱい使うから、それを刻む時に涙が出てたいへんになるのではないかな。でも、その玉ねぎが鶏肉を柔らかくしていい味にするのだから、困難を乗り越えたところに美味しい料理ができるってことなのでは」
 なるほど!コックさん目線の名付けなわけね。

 新しい料理を味わわせてくれた皆さんに感謝。

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 翌日、砂織さんとドドマの市場などを巡った後、どこかでお昼を食べようとなった。タンザニア料理の美味しい食堂に行きたいよねと話してたところ、砂織さんの取った行動は、初対面の地元の人々への聞き込み!なのだった。さすがの行動力である。

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ドドマ街中の一角

 ビルが結構立ち並ぶ歩道も広々としている街中の一角に、新聞を手にした勤め人のようなおじさんたちが7、8人ほど腰を下ろしていた。そのおじさんたちに「この辺で美味しいタンザニア料理を出してくれるお店を教えてもらえませんか」と。「庶民的な店がいい」とも。
 
 そのおじさんたちが勧めてくれたのが、そこからもほど近いここMwambao(ムワンバオ)レストランなのだった。

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 日曜のお昼とあって、地元の人々と思しき家族連れ、カップル、男性グループなどで賑わっていた。個室もある。

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カラフルな手提げカゴとザルは砂織さんが市場で手に入れたもの

 テキパキとしたスタッフが我々のテーブルにもやってきた。「どんな料理があるの」と聞くと口頭でメニューを伝えてくれる。「チャンガモトはある?」と聞いたら、もちろん!って首を縦に振ってた。やはりあるんだ!

 ここに来るまでの間、道中の屋台でバジア(マッシュしたデング豆などで作る揚げ物)などを摘んで来ているから、超空腹というわけでもない。チャンガモトにはライスもついてくるというので、一人分をシェアすることに。それと野菜が欲しかったので、キャベチ(キャベツの炒め物、甘みがあっておいしい)や青菜のスピナッチなども頼んだ。

 運ばれてきたのは、一人分にして正解だった!と思えるほどのボリュームある料理たち。ライスも大皿いっぱい盛られているし、おかずもンジェゲレ(グリンピースのシチュウ)とマハラゲ(豆のシチュウ)に青菜にバナナはなんと2本もつけてくれてる!野菜プレートもキャベツと青菜の他にもニンジン、トマトまでついてる!

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 そしてメインのチャンガモトもたくさんのチキンの上にこれまたたくさんの玉ねぎが乗っているという食べ応えある量なのだった。昨日のチャンガモトよりも玉ねぎの甘味が濃いような気がする。同じチャンガモトでも当たり前だろうけど、お店によって味わいが違うのね。

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 写真に撮り損ねたけれど、自家製の人参とパイナップルのミックスジュース(3,000シリング:1円=約18シリング)もおいしかった。

 スタッフもシャキシャキしている活気のあるお店で、広々としてるし、ボリュームあるおいしい料理で値段もリーズナブル(すみません、正確な価格が己のメモリにありません。。)で、さすが巷のおじさんたちの推奨レストランなのだった。

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 ダルエスサラームでは外食する機会もそれほど多くないこともあり、チャンガモトにはまだ巡りあってないけど、ダルエスサラームのシティセンターの対岸、キガンボーニのレストランのシェフのチャンガモトの作り方(スワヒリ語)の動画をYouTubeで見つけた。
 
 やはり玉ねぎを大量に使ってた。この動画では鶏肉だったけど、1羽分に対し玉ねぎ1kg以上と言ってた。肉は牛でも多分山羊でも何でもいいらしく、魚を使ってもいいようだ。あと必要なのは食用油と塩と水とライムとお好みでピリピリ(唐辛子)というシンプルな材料。タンザニアのメインのおかず料理にしては珍しくトマトは使ってない。肉や魚は前もって揚げたり茹でたりしておく必要があるようだ。
 動画では料理人は玉ねぎに泣かされてはいなかったけど。。

 ここまできてやっとわかったんだけど、マカンゲといい、チャンガモトといい、バー発祥の料理と言われるのは、お店で、すでに揚げてあるお肉や魚が売れ残ったり(もちろんお客に出す前のヤツを指してるよ。タンザニアでは揚げ肉や魚やチップスなどが注文前にガラスケースに売り物として入れられているのをよく見かけるから)、売れ残りそうになったりした時、目先を変えた味付けをして、お客に売り出すということから始まったのではないかということ。だから加える肉や魚はすで揚げたり煮たりしてあるものを使うわけだね。チップスを加えた料理もそこから来てるのかもねえ。今は、チャンガモト用の揚げ肉などが用意されてるのかもしれないけど。
 賢いというか、食材を有効に使ういいことだよね。おいしくいただけるのだし!

 食べ物には保守的であるといわれるタンザニアの人々が編み出す新しい料理に今後も期待。そのネーミングにも!

 チャンガモトをまだ食べたことない方、機会があったらぜひチャレンジしてみてくださいな。

 

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