ヘナパーティ

 タンザニア生まれの息子の中学、高校時代のタンザニア人の親友が結婚することになり、招待状をいただいた。親友一家とは家族ぐるみで親しくしている。友人一家はムスリムである。

 スケジュールは、1日目、ヘナパーティ、2日目、モスクで結婚の誓いの後、女性だけのパーティ、3日目、ホールで披露宴という3日間にわたる式典!
(それでも短い方らしい。。ちなみにヘナパーティというのは、ヘナという植物の染料を使って手や腕や足などに模様を描いてもらうパーティである。オレンジ色の模様は2週間くらいで消えてしまう)

 特に2日目と3日目にどんなものを着ていったらいいか、迷ってた。スカーフをすべき?モスクにはアバヤ(以前、ペンバ島で作ってもらったのは日本に置いたまま。。)?などなど。自分の年齢的に?毎日はしんどいかなあと、ヘナパーティはパスしようかと思っていた。まずは、3日目に着ていくものの相談をしようと新郎の妹に電話してみたところ
「披露宴には、スパンコールのついてるのとか、派手なものがいいよ!スカーフはしなくて大丈夫よ!」とのアドバイスをもらった上に「ヘナパーティはポットラックパーティなので、何か食べ物を持ち寄ってワイワイと女性だけですごすよ。ビリヤニとか美味しいものがたくさんになる予定だよ。おいでよお」と誘われる。

 ヘナパーティは、息子の親友宅で行われ、15時からとのこと。しかし、わたしはその日は18時からダルエスサラーム街中でフランス語の授業があるので、行ったらあんまりゆっくりできずに帰らないといけない感じになる(親友宅は街中から車で40分はかかるところにある)。
「ヘナの描き手は、12時頃から来てるから、早めに来たらいかが?」と言われて、こころが動く。。久々のヘナもいいかな。そしてさらなる衣装などの情報収集にもなるかなと参加してみることにした。

 さあ、持ち寄りの一品はどうしよう。探してみたら海苔も粉末すし酢の「すしのこ」(海外で寿司作る時にとても便利)も巻き簀もあったので、タンザニアで手に入る材料のビーフソーセージ、卵、きゅうりを具にした太巻きを作ることにした。子どもたちが小さい頃から時々作ってた簡単太巻き!(きちっと真ん中に具材が配置されないことが多いけど、まあ愛嬌で??)

 時間通りに行ってもいつも早すぎた!って感じなので、ちょっとサバよんで13時半頃、息子親友宅に到着。まだ妹とその友人が椅子やテーブルなどを動かして、絶賛準備中なのだった。関係者以外のお客はわたししか来てない様子。。やはり。

 でもヘナの描き手の女性は子連れですでにやってきていた。

 関係者の人のすでにヘナを施した手などを見せてもらう。おお、すてきではないか。

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 新婦も来ていて、すでに細かい模様のヘナが腕と足に美しく描かれていた。(足の写真はないが)

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 誰もまだ来てなくて、暇だし、勧められたし、いっちょヘナを描いてもらおうか、というところで、わたしは化学物質アレルギーがあるのだったということを思い出した!以前、ダルエスサラーム街中でヘナと銘打ったヘアカラーを購入して使ったら、なんとおでことかが腫れたことがあったのだ。怖っ!のちに表示された原材料をよく見ると、何かの化学物質が含まれていた。天然ヘナ100パーセントのもので染めた場合は大丈夫なのだけど。。
 また、ピコと呼ばれる(多分これも毛染め)黒っぽい染料で手にヘナを描いてもらった後もやはりその部分が腫れてたいへんだった。。。
 なんでそういうことをすっかり忘れているのだろう。。

 描き手の人や周りの人によると、ヘナペィンティング用にケーキのアイシングと同じようなチューブに入れられたヘナは、ヘナ成分は多いものの100%ナチュラルとは言えないらしい。。100%天然のものだと、何度も上塗りしないと綺麗に仕上がらないのだと描き手の女性は言うのだ。

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 せっかく久々のヘナを楽しみに来たのに、残念なり。。。わたしの娘などもピコでも大丈夫なくらいだから(でもほんとは黒のヘアカラー的ピコでヘナを描くのは避けた方がいいと思う)みなさん、肌が丈夫で羨ましい。

 家族や関係者は椅子やテーブルを動かしながら会場セッティングやフラワーアレンジメントなどでまだ絶賛準備中。

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カタツムリの花瓶!

 白い煙がもくもくと上がるお香も炊かれる。フランキンセンス(乳香)に何かを混ぜたと言っていた。スッキリするいい香りだ。

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 手伝い不要と言われたので、アラビックコーヒーなどをいただきながらまったりしていたが、他のお客さんはなかなかやってこない。わたしに続くお客さん、第二号は、15時過ぎにやってきた2歳と6ヶ月児の母という息子の同級生でもあったFさんという女性。子どもを置いてきたが、母乳育児なので、早めに来て、ヘナやってもらって早めに帰ろうと来たとのこと。

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 彼女の足先と指先だけのヘナもとてもおしゃれ。

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 お昼をちゃんと食べてこなかったので、お腹が空いてきた。
 フラワーアレンジメントが終わった親戚の女性が、チャイを入れてくれるという。100%ミルクにシナモンと茶葉を入れて煮立てた濃厚チャイ。「仕上げにコンデンスミルクを少し足すとさらにコクが出て美味しいのよ」と彼女はいう。ほんと、じわりと染みる美味しさだった。

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 それと、揚げたてのサモサをいただく。しっとりとした挽肉入りの中身をカリカリの皮が包む。ちょっとピリピリも入っていて、チャイによく合う。

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 作ってきた巻き寿司をFさんやヘナの描き手の女性たち(その頃には二人増えて全部で三人になっていた)に勧めてみる。Fさんは海外経験もある人で、握り寿司も食べたことがあるらしいが、ヘナの描き手の女性たちの中の一人は、見せた途端に「あ、お寿司ね」って言ってたから(後の二人は知らなかったようだが)、タンザニアでも寿司はポピュラーになりつつあるのか、と思った。初めての人も「おいしい」と言ってくれたよ。(後から聞くとわたしの巻き寿司は好評だったらしい。よかった)

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 そうこうしているうちに、17時近くとなり、お暇しなければならない時間帯になったが、まだビリヤニのための炭を熾し始めたような段階。。ごちそうにありつくのは夜遅くになりそうな気配だ。親戚の女性にも「帰っちゃうの?今夜はご馳走がいっぱいなのに!」と言われ、後ろ髪をひかれながら家を出た。
何のために来たのだろうとチラリと思わないでもなかったが。。

 お客さんはわたしと入れ違いに一人来たけど、まだ、それだけ。。皆、何時頃にやってくるのだろう。。。


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披露宴会場にて。ジャスミンの花で作ったブレスレットは参加者に配られたもの。いい香りがする。


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披露宴当日の新婦の豪華な衣装とヘナの手。


 3日目の披露宴では、招待状には18時開始と書かれていたので、19時頃に行ったら、100人規模(それも女性だけ。男性は別の会場)の会場にまだ10人くらいしか来てなかった。。。女性だけだったので、ムスリムでもスカーフしてない人もたくさんいたし、お腹や肩だしてる衣装の人も、キラキラの人もいて、全体的にカラフル。

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新郎新婦

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新郎とお色直しした新婦とと結婚式参列のために来タンした我が息子と共に記念撮影。わたしの衣装は以前に知り合いのパキスタン系タンザニア人に頂いたもの

 
 待っている間もタアラブで踊ったり、スイーツをつまんだりはしてたけど。ブッフェ形式の食事が出たのは22時。そして宴は夜中の12時まで続いたのだった。。皆、元気だなあ。お幸せに!


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ダルエスサラームの夕暮れ


 明後日、11日月曜日から断食月、ラマダンが始まるそうです。タンザニアは暑い時期なので、ちょっとたいへんかも、と思ったりもします。

 イスラエルによる攻撃の続く、ガザ、パレスチナでは人々の一層の窮状がつづいていて、とても心が痛いです。”世界”が衆目している中でなぜこんな非道が罷り通るのでしょう。一刻も早い停戦を、恒久的停戦を願います。パレスチナ、ガザの人々が聖なるラマダンを攻撃の恐怖や食糧難の恐怖などから逃れて過ごせますようにと心から願います。
 

この記事へのコメント

イタチ丸
2024年04月21日 14:43
Asamiさんご紹介によってタンザニアには素敵なアートがたくさんあるのは存じておりましたが、ヘナで手足に描く造形の美しさが素晴らしいです。品格があって伝統と文化の深さを感じます。Asamiさんの巻き寿司の差し入れの形で文化交流してもらっているのもいいですね~ とっても美味しそうです!

asami
2024年04月27日 07:07
イタチ丸さん

タンザニアのアートに関心を持ってくださってありがとうございます。ヘナペインティングはおっしゃるように奥深いものがあると思います。嬉しいコメントをありがとうございました!!