10年ぶりの国勢調査2022-その1

 タンザニアの国勢調査が10年ぶりに今年8月に行われた。ずいぶん前から「今年は国勢調査だよ!みんな、準備はいいかい?」みたいなキャンペーンが行われていたようだ。今年に入ってからタンザニアの政府関係のサイトを開くと下記の国勢調査のステッカーが現れてきた記憶がある。sensaはスワヒリ語で国勢調査のこと。

sticker.jpg


 わたしは今年5月初旬にタンザニアに来た。当地で登録した携帯には「Sensa2022」というタイトルで下記のように国の発展のために国勢調査は大切なので皆さん、ぜひ協力してね」というメッセージがいくつも入ってくるのだった。

46127.jpg


 国勢調査が行われた10年前の2012年もその前の2002年の時もわたしはタンザニアに住んでいたのけど、2010年に始めたこのブログにも前回の国勢調査のことは書いてない。当時はあんまり関心がなかったのかも。。。夫、根本利通は細かく書き残してるけど。

 夫の書いた2002年の国勢調査からの抜粋が下記である。

 「さて今回の国勢調査。我が家には8月25日(日)調査員が訪れた。見たことのある近所のおばさんが、Sensaと書いた帽子とTシャツを被って訪れた。調査項目は、氏名、年齢、性別、身体障害の有無、国籍だけだった。宗教、民族の統計は取らなくなって久しいようだ(1988年にも調べられなかった記憶がある)。職業も訊かれなかった。身体障害に関しては初めての調査ではないか?調査票を覗き込んだわけではないから、本当のそれだけの調査なのか、地区によっては違う項目があるという噂があるが、真偽は定かではない」

 タンザニアはそれ以降も宗教、民族の統計は取っていない。ニエレレ初代大統領以来の国のポリシーに基づいてそうしているのではないかと思われる。

 夫の国勢調査2012年の記録によると前回の調査は2012年8月26日(日)だったそうだが、当時の我が家には翌日月曜日に調査員が来たとのこと。
「我が家には翌日の月曜日に調査員は来て、妻に私たち二人のことを質問して帰ったそうだ。住み込みのお手伝いさんは前日郊外の実家に帰っていた時に調査された。キリマンジャロ州の故郷の村に、お客さんを案内して帰省していたスタッフはそこでカウントされた。ドドマに出張中だった運転手は、泊まっていたゲストハウスに調査員がやってきて簡単な項目の調査票に自ら書き込んだという。また旅行中だった日本人の大学生も、泊まっていたアルーシャのゲストハウスで、8月26日の午前2時過ぎに起こされて調査されたという。日本人の研究者も調査地で質問を受けたらしい。」とある。
 わたしも質問票を持った人に庭に作ってあった椰子の葉葺きの屋根の休憩所で答えた朧げな記憶ならある。

b1-side.jpg

 さて、今年のこと。ダルエスサラーム在住のタンザニア知人の息子は地方の公立中学校で寮生活していたのだが、8月4日に会った時にはすでにその子は国勢調査のために学校が休みになったということでダルエスサラームの実家に戻ってきていた。力が入ってるなあと思った覚えが。
 サミア大統領が登場する国勢調査のキャンペーンのポスターなども見かけていたし、ザンジバルに8月初旬に行った時にはバジャジ(オート三輪タクシー)の後ろでザンジバルのムウィニ大統領が「国勢調査に協力しましょう」と呼びかけていた。

rais sensa.jpg

 8月18日にダルエスサラームのシティセンターの対岸、キガンボーニにフェリーで渡った時には船から降りた人々に下記のリーフレットが配られていた。

43919(1).jpg43920(1).jpg 

 これには国勢調査(Sensa ya watt na makazi=人口と住居の国勢調査)に関するQ&Aが載せられていて、調査項目なども列記されている。
 質問と答えを掻い摘むと下記のごとく。
・国勢調査って何?→調査が行われる前の晩にこの国で眠っていた人々が翌日の調査日に調査員から質問を受け、答えるという大切な情報収集調査。
・国勢調査の目的とは?→国の重要な開発、つまり教育、健康、就業、道路整備、燃料やきれいな水などの、を正しく計画するために必要な調査。
・誰が対象か→この調査日の前の晩にこの国内で寝ていた人々。ホテルやゲストハウス、病院、刑務所、空港などなどにいた人々も含まれる。
・国勢調査のときにどうすればいいか→訪れる調査員に協力し、質問に答える。わからなかったり聞き取れなかったりたら聞き直す権利がある。正しい答えをすることが大切だ。世帯主は前日の夜からそこにいる人々の情報を把握していることが大切。
・どのように行われるのか→身分証明書持参の調査員がタブレットを持ってやってくる。世帯主に質問する。世帯主がいなければ別の大人が答える。
・どのような情報が収集されるか
 →年齢、性別、婚姻状況/障害の有無、種類、原因/国民IDカード情報、両親の健在/学歴/職業/土地所有/出産/死亡、妊産出産に絡む死亡/
 家、家の所有、家財、資源と環境管理/農業、畜産業、漁業、林業/建物、家屋/住所/コミュニティサービスなど(よくわからないのは飛ばしてます)
 →得られた情報は秘守され、統計目的でのみ使用される。
・どうすれば調査員を認識できるか→証明書を持ち、制服を着ている。
・国勢調査の質問に答える義務はあるか→はい。法律により決められている。そして結果は人々のために使われる。
・新型コロナが調査の障害になるか→いいえ。調査員はうつしたりうつされたりがないように専門家の意見に基づいて注意を払う。


 人々に国勢調査の必要性、大切さを認識してもらうために広報に努めている様子が伺える。国勢調査日の前の晩からタンザニア国内にいる人全員が調査の対象なのね。

  
 次回につづきます。

 

この記事へのコメント