薫るクローブの季節

 「クローブが船で積み出される季節になると港の周辺一帯にその独特の香が漂うんだよ」というのは、JATAツアーズの仕事もよく手伝ってもらっているザンジバル(ウングジャ島)のガイド兼運転手のムゼーの言葉だ。そのちょっと刺激的な甘さもある香りから逃れられなくなるらしい。
 そしてちょうど今、ザンジバルのウングジャ島やペンバ島の村々では収穫したクローブを天日に干しているシーズンのはず。

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摘みたてのクローブを干す

 「19世紀初頭、モルッカ諸島からウングジャ島に導入されたクローブ栽培は、サイード王自らその栽培に着手すると、たちまちアラブ人移民のあいだにも広まった」※1. 奴隷を使ったプランテーション栽培としてペンバ島にも拡大していき、一時は両島で世界のクローブの九割を生産していたこともあったという。

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クローブの木:mkarafuu


 日本語ではその形から丁子と呼ばれ、スワヒリ語ではカラフー(karafuu)※3となるクローブ。開花直前の蕾の部分を収穫して天日干ししていく。料理の香辛料はもちろん、抗菌効果や歯痛などを治める鎮痛剤や防臭、虫除け(台所によくいるGも嫌がるらしい)としても使われてきた。

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左:クローブの蕾、右:天日に数日干したクローブ

 今は原産国のインドネシアが世界の七割ほどの生産量で、ザンジバルはマダガスカルに次ぐ世界第三位だそうだ。※2

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摘みたてのクローブの蕾

 4年前、2017年のちょうど今ごろ『岩合光昭の世界ネコ歩き』のザンジバルでの撮影のお手伝いで、ザンジバルはウングジャ島のクローブ栽培農家にお邪魔していた。小規模農家が、他のスパイスの木(ウコンや黒胡椒など)とともに栽培していることが多いという。

 クローブの収穫は手摘みが多く、木に登る必要もあるので、なかなかたいへんそう。下の写真、クローブの木の間から覗く人の姿が見えるだろうか。

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 村の女の子たちが収穫したクローブの実を一つ一つ分けていく作業をやっていた。彼女たちの纏うカンガの色と若々しいクローブの蕾の色が組み合わさって日の光に映える。

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ちょっとカメラに照れてる!
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 布で包んでクローブの蕾を運ぶ。さあ、干しますよ。

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 今も昔もタンザニアでは、カラフーことクローブの主生産地はペンバ島の方だそうだ。※4
 でもこの季節、ウングジャ島でもちょっと郊外に行くと多くの場所でクローブを干している光景に出くわす。

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 お天気にもよるが、3〜5日くらい干すと深い茶色に染まってゆき、香辛料として目覚めるのだそうだ。
 茎や葉の部分からもオイルが抽出されるので、収穫され、干されている。

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 2018年の記事だが、ザンジバル産クローブの輸出が好調」というJETROの記事もあった。新型コロナで一時的に需要が減ったかもしれないが、今後、ハーブやナチュラルプロダクトの需要の増加が見込まれるので、クローブ市場には期待できそうという話も聞いた。

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 ザンジバルのクローブ薫る季節。来年も再来年もその先もきっと巡ってくる。





※1 『スワヒリ都市の盛衰』富永智津子 山川出版社 P.78より
※2 https://www.mordorintelligence.com/industry-reports/global-clove-market
※3 三重県津市には在タンザニア日本大使館の元公邸料理人がシェフをしているその名もKARAFUUというレストランがあります。
 その”スパイスアイランドのザンジバル島で出会ったスパイスを少し加えたフランス料理”は他では味わえない美味しさです。
※4 ブログ『ダウ日記〜アフリカ&ザンジバル〜』の『カラフー&ハルワ』の回には、ペンバ島でのクローブの記事と写真がありました。

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