マコンデ彫刻展〜精霊(シェタニ)たち

 来年のことを言うとシェタニ(精霊)が笑うかもしれませんが、タンザニアのシェタニのマコンデ彫刻たちが2022年1月18日から2月6日までの間、わさわさと東京は座・高円寺のGarellyアソビバに集まります。

IMG20211105092237.jpg

IMG20211107111549.jpg

 このブログでも何度かご紹介してきたマティアス ナンポカ(1971〜 )の作品を中心にお届けします。一番上の写真の彫刻もマティアスのものです。撮影地はダルエスサラームです。

mathias nampoka& his work.jpg
マティアスと彼の作品:2021年3月撮影、マティアスの家の庭にて


 マティアスの父、エバリストは1944年に隣国モザンビークに生まれたマコンデ人で彫刻家でした。1966年に独立闘争が始まっていたモザンビークから内戦を逃れてタンザニアに渡ります。そして2000年に他界するまで「人間は神の創りたもうたものだが、シェタニは私自身の想像の産物」と言ってシェタニの彫刻を作り続けました。その背中を見てマティアスは育ちました。

 来るマコンデ彫刻展でもエバリスト ナンポカの作品も登場します。滑らかなのに厳かに光る不思議な存在感のあるシェタニです。

e-1.jpg
エバリスト ナンポカの作品


 親父(エバリスト)は「シェタニは私自身の産物」と語っていましたが、マティアスのニュアンスはちょっと違います。木を彫り始めると、それがどんな形になっていくのかという「アイデア」が自然と降りてくるのだそうです。
 マティアスが二度と同じ彫刻を作らないということを考えると、やはり、木の中に何かが宿っているのではないかと思います。その木の声を聞きながら、彫刻家は手を動かしていくのではないかと。

 黒く光るマコンデ彫刻に使われる木はタンザニア南部とモザンビーク北部に多く植生するアフリカン・ブラックウッド、スワヒリ語でmpingo(ムピンゴ)と呼ばれる木です。とても密度の濃い堅い木で、クラリネットやオーボエなどの木管楽器にも最適な木材とされているそうです。※1

mpingo.jpg
mpingo


 ムピンゴは「IUCNレッドリストでNear Threatened(準絶滅危惧)に分類されるなど、近年その資源量が減少傾向にあると言われて」いるそうです。※2 しかし、その植林、保全活動をしているNGO(African Blackwood Conservation Projectなど) もいくつか存在するし、日本の楽器メーカーのヤマハもタンザニアの現地NGOや地域住民と協働しながらムピンゴの持続可能な活用を目指している※2そうなので、ムピンゴの将来に期待が持てそうですね。

 マティアスの家の庭にもムピンゴがありました。まだ幹は細めだけど、葉をわさわさ繁らせています。ムピンゴは収穫可能な大きさになるまで70年から100年かかるそうです。

IMG_20210326_122019_1.jpg
ムピンゴを見上げるマティアス。横にいるのは夫人のスーザン


 この木が何歳くらいか聞きそびれましたが、中に宿している精霊がいつかマティアスの手によって息を吹き込まれることがあるでしょうか。

RIMG0020.JPGRIMG0040.JPG

 木の声を聞きながら彫刻家が彫り上げた彫刻は、あの堅い木から生まれたとは信じられないほどの曲線の”体”と、見る角度によって表情を変える不思議な”顔”を持っています。そして異空間ーここにいながらにして別の場所にいるかのようなーへと誘ってくれるシェタニとなるのです。

mnvinyago2.jpg
マティアス ナンポカ作品

 マティアスのシェタニの他にもエバリスト ナンポカのどっしりとしたシェタニ、貴重なジョージ リランガのシェタニ、ヘンドリック リランガのユニークな音楽家のシェタニも来年1月から2月にかけてのGallery アソビバに集まってきます。

 マコンデのシェタニ世界にようこそ。お待ちしています。来年ですよ!
 
 


※1 『途上国森林ビジネスデータベース アフリカン・ブラックウッド』
https://jifpro.or.jp/bfpro/wp-content/uploads/2017/06/information_African-Blackwood.pdf

※2  YAMAHAのHP『持続可能な資源の利用/木材資源への取り組み』より
https://www.yamaha.com/ja/csr/environment/sustainable_resource_use/


<関連ブログ>

『マティアスのシェタニは空から降りてくる』2019年02月03日
https://asatanza.seesaa.net/article/201902article_1.html

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック