アフリカンアートミュージアム

 ずっと行きたいと思っていた山梨県は八ヶ岳南麓にあるアフリカンアートミュージアムの訪問が叶った。

 JR中央線長坂駅からタクシーで約5分(自分で車で行く人には駐車場もある)。のんびりとした雰囲気の長坂駅を離れ、緑豊かな丘を上がっていくとミュージアムの青空と緑に映える白い建物が現れる。

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 入り口の前に立っている大きな鳥の彫刻がお出迎えしてくれる。あとからこれはサイチョウをイメージしたコートジボワールのセヌフォ人の彫刻だと聞いた。一本の木から生まれた大きな大きな鳥。

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「カラオ」と呼ばれる像だという。記念撮影!
 

 開館10周年記念の「アフリカンアートの真髄Ⅲ」が11月29日(月)まで開催中。アフリカの美術品だけでも1900点ほどの所蔵があるという中で(他にもアジア、オセアニア、インドネシア、フィリピン、ヒマラヤ、台湾や日本などの美術品も700点あるそうだ)「今回はコンゴ共和国、コンゴ民主共和国、アンゴラ、ガボンとタンザニアの美術の名作を展示」とのこと!タンザニアも入っている。

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入り口のドアの取っ手までアート!

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入館のチケット、記念に持ち帰りたくなる。連れが二人いたので三人分。
それぞれ違うのがまた楽しい。右下が愛しのタンザニアはマコンデ人のリピコマスク。


 自然光が降り注ぐ明るい展示室。白い壁に囲まれたテラコッタ色の床にの上に美術品たちが凛と存在していた。
 
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 一つ一つの彫刻たちとじっくりと向き合える嬉しさ。その存在自体が多くを語ってくれる。それぞれの作品の解説が載ったファイルを貸してもらえるので、一通り見た後にお気に入りの作品の解説をじっくり読んでまた眺めるという楽しみ方もできる。

 釘が刺さっているコンゴ(共和国)の立像「コンティ」やフクロウを象徴とした二つ顔のある「アルンガマスク」やチンパンジーの精霊が宿るという仮面など、その一つ一つが雄弁にこちらに迫ってくる。どんなふうに生まれ、村やコミュニティでどのように存在し、どのような道筋でここまで来たのだろうと想像がふくらむ。

 ちょうど土曜日の午後に訪れたので、なんとラッキーにも館長の伊藤満さんのギャラリートークに遭遇することができた。(毎週土曜日午後1時から。学芸員によるギャラリートークが行われているという)

 パリで出会ったアフリカンアートに魅せられて蒐集が始まったというお話も興味深いものだったが、特に印象に残ったのが、アフリカの人々は非対称のものを美しいと思うというお話。現在コンゴ民主共和国のある地域に住んでいた人々の織った布も展示されていたのだが、それには一定の同じ繰り返しのパターンはなく、左右対称でもなく、布をつなげる時にも幅をわざと違えたりするというのだ。
 それはこの布だけでなく、この地方だけのことではなく、アフリカの他の場所でもそういった「美意識」が見られるという。

 これを聞いてわたしは、タンザニアの親指ピアノ(リンバ)に蜘蛛の卵膜を使ったり、小さな鉄片をつけたりしてわざと”サワリ音”を出すのを好む、ということを思い出した。それは澄んだ音色を好む欧米人からすると”雑音”に聞こえることもあるらしい。その「美意識」の違い。とてもおもしろい。


 2階の展示スペースでは、手のひらサイズの小さく不思議な立像たちとも出会える。そしてアフリカの形とりどりの椅子が窓辺に置かれているので、アフリカンアートたちとの出会いで熱った気持ちを落ち着かせるが如く、緑の木々たちを眺めながら一休みすることもできる。贅沢なひとときである。

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 ミュージアムショップもあり、じっくり鑑賞した後に彫刻からアフリカンアクセサリーやコーヒー、チョコレートまで、さまざまなものたちがカラフルに並んでいるのを見るのも楽しい。
 
 アフリカンアートミュージアムのある八ヶ岳南麓はこれから美しい紅葉が始まる季節という。中央アフリカや東アフリカにはない秋という季節の中にいるコンゴやタンザニアの美術品たちは何を感じるのだろうとふと思ってしまったりした。


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 11月末までの「アフリカンアートの真髄Ⅲ」展、お勧めです。美しい自然の中で大地からの響きが聞こえてきそうなアフリカンアートに浸れます。
 

 
⭐️アフリカンアートミュージアム⭐️
ウェブサイト:http://www.africanartmuseum.jp/index.html
〒408-0036 山梨県北杜市長坂町中丸1712-7
TEL:0551-45-8111
開館時間:9:30 -17:00
休館日:祭日を除く火曜・水曜
観覧料 一般:800円 学生:700円 小学生以下:保護者同伴の小学生は無料
入館はオンラインによる事前予約が必要とのこと。

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